2006年1月発行 Vol.66

 


「ニオイ」「騒音」「湿度」「カビ」のアプローチで新たな市場を開拓

●2005年を振り返って、どのような成果があったでしょうか。

土山:2005年は経営基盤の拡大をテーマにさまざまな施策を実行してきたわけですが、ひとつは事業分野の拡大として取り組んだ、「ニオイ」「騒音」「湿度」「カビ」という、お客さまの悩みの4大テーマに対するソリューションのアプローチが、着実に成果をあげたと言えます。特にあらゆる業界で除湿ニーズが高まる中、デシパックを核にした当社の除湿技術が高い評価をいただき、「除湿」を糸口に新たな市場の開拓が進みました。これにはインドの除湿機メーカーDESICCANT ROTORS INTERNATIONAL社との単独販売契約が大きなアドバンテージとなりました。

また、国内においても業務提携を積極的に進め、特殊プラント部門の強化のため株式会社エス・ビー・プラントを系列化し、さらに、技術力強化のため株式会社エィ・ケィ エアテクノを合弁で設立しました。

技術力、営業力でメリットを提供しあい、強い部門をより強く、弱い部門を補填していくことで、さらなる営業拡大に挑戦できるようになりました。当然、業績はグループの連結決算として飛躍することになりますが、それによって経営拡大にさらに加速度がつくものと思っています。

視点を変えることで『サプライズ』を巻き起こす

●では、2006年はどのような展開をお考えでしょうか。

土山:2006年のテーマはズバリ「視点を変える」。見方を変える、立場を変える、角度を変える、視角を変える、目のつけ所を変える。さまざまな場面でまず「視点を変える」ことで、過去のすべての事柄を変えていこうという意気込みです。これが経営基盤の強化、時代の変化への即応、現状打破を図るキーワードとなります。

経営基盤の強化とは、経営を多様化するという意味でもあります。多様化によって、2005年に拡大した経営基盤をより強固なものにしていく。たとえば、業務提携によって拡大した製品力、技術力、営業力をどう活かすか。私は、これらのパワーを、新しい井戸の発掘に注がなければならないと考えています。古い井戸から水を汲み出すのには多くの労力を要します。それだけに頼っていればいつかは枯渇してしまうでしょう。つまり過去の利益源に頼っていては、行き詰まりは見えているということです。昨年「ニオイ」「騒音」「湿度」「カビ」という切り口で、独自の商品を軸にしたソリューション営業で進めてきた市場開拓は、まさに多様化によって『新しい井戸を掘る』ことだったわけですが、今年はそれをさらに拡大、推進していきます。

●「アメフレックは何を、どこへ売っているのか?」と言われる営業戦略を、とおっしゃっていましたが、それが製品と顧客の多様化政策だったわけですね。

土山:そうです。今年はそれをさらに推し進める。そして、そのためには視点を変えることで『サプライズ』を起こす必要があるのです。お客さまをあっと驚かせるような逆提案、あるいは、まったくご縁のなかった、あっと驚くような顧客へのアプローチ。これまでと同じものの見方、同じ考え方をしていたのでは、サプライズは生まれません。

たとえば、昨年のさまざまな成果はいわば想定の範囲内のことですが、ひとつ想定外の展開がありました。それは、同業者つまりライバル企業への売り込みに成功したことです。これまでの常識では、同業者はすべて敵だったわけですから、まさにサプライズです。製品だけではなく、技術面でも、人材面でも、納期などの面でも、同業者をしてアメフレックでなければ、と言わしめるような、他社にはない強みが確立されてきたのだとすれば、自信を持ってさらに新しい井戸の開拓に挑戦していくべきでしょう。

少子高齢化社会にどう対処するか

●常日頃から『革新比率20%』ということをおっしゃっていますが、もっと高い比率で革新を進めようということでしょうか。

土山:例年にも増して変革を叫ぶ背景には、時代の変化ということがあります。たとえば私が実感しているのは、安売り哲学の終焉です。今からの世の中は、「高いけど、おいしかった」「高いけど、サービスがよかった」「高いけど、よく似合う」といった、高価でも本当に満足できるものが売れる時代になってくる。すでにあのユニクロでさえ中級品にシフトしつつあるし、百貨店は軒並み売場の改編を行い、「質」を追求した高級化を図っています。そうした潮流を見逃してはいけない。

 また、今後日本を最も大きく変えていくのが、少子高齢化の問題です。まもなく日本の人口は減少に転じると言われています。2004年に生まれた子どもは約110万人、団塊の世代と比較すれば約半分です。人口が半分なら食糧も衣料もなんでも数量的に半分になる。当然経済社会は大きく変化します。少子高齢化の影響については他にもさまざまな議論がありますが、我々にとって最も深刻な問題は、労働人口の減少です。労働人口はすでに1995年あたりから急激に減少。11年前には173万人だった大卒者が、昨年は137万人にまで減りました。つまり、人材の採用が非常に難しくなるということです。加えて2007年からは団塊世代の一斉定年もはじまります。以前からあらゆる機会に申し上げてきたことですが、人材は一刻も早く確保しなければ、中小企業は特に、深刻な人手不足に陥ることになります。

●昨年、人材の確保と育成を最重要課題として取り組むとおっしゃっていました。

土山:2007年には18歳人口が大学定員と均衡する『大学全入時代』が到来します。もちろん新入生を確保できない大学は存続していけない。15校に1校が淘汰されるとも言われています。今大学はそれぞれ新しい価値の創造に躍起になっています。必要な人材が確保できなければ、企業の存続も危ぶまれる。その危機はもう目前に迫っています。

我々は昨年から3年計画でこれまで以上に積極的な採用活動を開始しました。ひとつは、春の定期採用だけでなく、通年採用にも力を入れていくこと。そして、魅力ある給与体系を整備すること。5年がかりで初任給を大幅にアップし、世間並みとははっきりと違うところを提示していきます。我々の業界はサービス性が強く、お客さまのご要望に献身的に応えていくのは決して楽な仕事ではありません。それを理解した上で入社してもらうためにも、特徴ある給与体系の整備が急務だと考えます。

また、当社では以前から60歳を迎えても、能力のある社員は嘱託としてさらに10年働くことができる、70歳嘱託定年制を導入しています。昨年末にめでたく一人70歳で退職しましたが、つまり10年前からすでに60歳以上のパワーに目を向けてきたわけです。

既成概念を打破しなければ何も変わらない

●先ほど、経営基盤の強化、時代の変化への即応、現状打破ということを言われましたが、順風満帆のように見えるのに現状打破とは?

土山:現状否定なくして企業の存続はありません。むしろ、うまく行っている時にこそ現状否定、反体制の姿勢が必要です。成果の部分だけを見れば順風満帆に見えるかもしれませんが、いくらでも打破すべき現状はあるわけです。たとえば達成した目標もあれば、達成できなかった目標もある。それを、がんばってできなかったんだからしょうがない、と考えたのでは何も変わらない。なぜ、目標に達することができなかったのか。それを今年は『視点を変える』ことで打破していこうというわけです。既成概念つまり『思い込み』に凝り固まって、正しくものが見えていないのではないか。特に営業部門では思い込みを徹底して排除しなければなりません。たとえば5年前に取引ができなかった会社は、今訪問してもできないでしょうか。決してそうではないはずです。今まで90度の視角でものを見ていたのなら、180度に広げることで、まだまだ拾える仕事がある。新たな展開もあるわけです。プレハブ冷蔵庫を売らなければと力むより、ちょっと目を転じて、お客さまの悩みを解決する提案をさせてもらえば、関係も変わっていくかもしれません。あるいは、立場を変えることで開ける道もあります。自分がお客さまの立場だったら、と考えた時に、お客さまも気がつかないような発想が生まれる可能性がある。注文を受けるだけでなく、お客さまに本当にメリットのある逆提案をするということが重要なんです。

●なるほど。常に土山社長が反体制派の旗手なのですね。

土山:さらに言えば、視点を変えると見えなかった問題点が浮かび出してくるわけです。たとえば、社外から見ると、アメフレックという会社は実に自由奔放な会社に見えるはずです。他社の営業から見たら、アメフレックは自社製品を積極的に開発して、売るものがあっていいなと思っているでしょう。毎号エコロプレスを見れば、成功事例が全部オープンになっている。営業のためになる情報が満載です。しかし、内側から見たらどうか。営業担当が60人もいて、たとえば非常に評判の高いデシパックが、一体月に何台売れているのか。現実には、連帯感に乏しいとか、社長の指示が徹底されていないと言われてもしかたがないような状況があります。新規開拓に力を入れれば既存の顧客訪問がおろそかになり、あげくに失注してしまう。つまり組織的、計画的な営業活動ができていない。外から見るアメフレックと、内から見るアメフレックとではこれだけのギャップがあるということです。このことを徹底して考えなおさなければ、本来あるべき姿のアメフレックは現れてこないと思います。
こうして『視点を変える』と声を大にしているのは、アメフレックが今からますます大きく変化していくという宣言です。今年は、創業70周年という節目の年でもあり、感謝の気持ちを込めて伏見稲荷に鳥居を奉納するなど、さまざまなイベントを企画していますが、同時に社員一同が心機一転、新たな視点でスタートする節目にもしたいですね。

日本経済に悪材料なし

●土山社長の景気見通しは的中するのでうかがうのが楽しみですが、今年はいかがでしょうか。

土山:日本経済にまったく悪材料なし。株価が上がるのを止められないという状況ですね。ドバイ原油が60ドルを割り、非常に安定してきました。これはインフレ抑止に好材料です。株が下がらない理由のひとつは、この3年間、株を売る人はほとんどが個人投資家と信託銀行であり、一方買い方が外国投資家と企業法人であったことです。2番目に企業の業績改善が18年度以降も続くと予想されていること。そして3番目には、住宅着工件数が昨年比7%強であるとか、鉱工業業生産指数は50%以上などと、政府や日銀が発表するさまざまなデータが全て株価に追い風となっていること。さらに円安が輸出を支援しており、輸出国である日本では、ほとんどの企業が輸出増で業績を上方修正している状況です。先に株を売ってきたのは個人投資家であると言いましたが、信用の売り立てが多すぎて反対売買ができず、今後買い方にまわるというのも、株が下がらない理由のひとつですね。少なくとも今から2年ぐらいは、全体的な景気の良さが続くであろうと思っています。

●では最後に、土山社長のパワーの秘けつを教えてください。

土山:無理をしない、力まないということですね。ゴルフでは「がんばれよ」と声をかけてはいけない。がんばれよと言われたら力が入って、思い通りのプレーができなくなるものです。「ユアペースで」というのがベスト。これはゴルフに限らず、仕事でも、歩行訓練でもしかり。ゆっくりあせらず自分のペースで取り組むのが、良い結果につながると思っています。

ページトップへ



Index Vol.66
■ TOP INTERVIEW
  (株)アメフレック 土山社長

■ ALLOW ME TO SAY
  「本当に強い大学

■ TRADERS WATCHING
  株式会社椿本チエイン 様

■ NEXT STAGE
  タック化成株式会社 様
■ Special topic(1)
  福井県民生活協同組合 様
■ Special topic(2)
  生活協同組合 コープかがわ様
■ イベントリポート
  MINATO USEFUL
      SEMINAR 2005
  港産業株式会社 様
■ Special topic(3)
  アソー株式会社様

■ 最新技術紹介
  「第8回AFC環境セミナー
  「大阪市工業会連合会
    
創立50周年記念式典

■ NEWS
  次世代空調システム研究
   (第2回見学会リポート)

 



  Copyright.2006 AMEFREC Co., Ltd   http://www.amefrec.co.jp
  エコロプレス2006年1月号