2006年3月発行 Vol.67


本社工場内に導入されたクリーンルーム

 


製造業の海外シフトが当たり前となった現在。「日本は超高精度な技術力で生き残りを図るべき」と力強く語る株式会社野田製作所の野田常務。

クリーンルーム導入に際してメーカーにぶつけたリクエスト。モノづくりにかける執念と意気込みを自然豊かな山あいの町 兵庫県・加西市におじゃましお話を伺いました。

 

 

 

株式会社 野田製作所
常務取締役 野田 伸浩氏
●御社の事業スタートについて伺いたいのですが。

野田:事業のスタートは三洋電機さんが松下電器さんから引き継いだ、自転車のダイナモ発電ランプのコード加工を行ったことだと聞いています。三洋電機さんの設立当初からの協力工場が当社だったのです。私が生まれる前の話なので50年ほど前のことです。伝聞になりますが、最初は内職程度から始め、徐々に扇風機、コピー機、除湿乾燥機、掃除機のプラスチック部分の成型を主に手がけてきました。昔は100%が三洋電機さんからの仕事で、かなり忙しかったそうです。

●御社で作られた製品を私もどこかで使っていたかも知れませんね。

野田:そうかも知れませんね。しかし最近は弱電部門の生産拠点が、海外に移転しつつありますので、この工場の製品は弱電から自動車の部品、精密機械にシフトしてきています。生産コストの競争になると、今は中国にはかないません。

●日本の技術の海外流出も気になるところですね。

野田:それも仕方のないことです。品質管理、技術指導、メンテナンスでは日本の技術者OBも海外の生産拠点で頑張っておられます。そんな状況下でも日本が世界に誇れるのは、小ロットでも超高精度なものが作れる製造技術です。当社もその領域に挑戦していかないと、仕事がますます難しくなるという判断で工場のクリーンルーム化を進めました。

●日本でしかできない分野を確立するために、将来に向けて工場のクリーンルーム化を行われたということですか。

野田:そうです。今回は滋賀県の和菓子メーカー様のお菓子を入れる容器を作ることになったのですが、食品用容器の業界では異物が混入したり、黒点が入ったりして、商品の仕上がりや環境の問題がクリアできなくて失敗することが多いのだそうです。これまでは別の業者さんがその和菓子メーカー様の容器を作っておられたのですが、あるお客様が和菓子を食べられた後に容器に混入した黒点を発見されて、そのお客様からの苦情を聞いた和菓子メーカー様は作った容器を業者に返品されてしまったということでした。高級和菓子だけに、そういう問題が解決できないと仕事を受注するのは難しいということですね。

●クリーンルームの導入までには紆余曲折があったと思いますが、メーカーにはどのようなリクエストを出されましたか。

野田:最初は作業の流れをお互いに理解していなかったように思います。例えばメンテナンスのための取り外しの作業工程であるとか、金型交換の高さ制限をどう解決するかなど、やり直しもありました。製品を作ること自体は問題ないのですが、管理の仕方が問題でしたね。クリーンルーム用の靴や衣装、室内の風向きなど、知らないことだらけで、全てアメフレックさんにお任せして、とにかくこの機械で食品を扱って、将来的には医薬品にも対応できる拡張性を持ったシステムにして頂きたいという希望を出しました。現状では医薬品製造には対応していませんが、フィルターの数を増やして製造環境を強化すれば可能だと考えています。 漫画みたいなイメージ図だけで、ちゃんとした図面も無い上に、年末で打ち合わせをする時間もなかったのですが、私が『こうやるんだ』と決めたとおりに進めて頂きました。工場の稼動をストップさせるわけにはいきませんでしたし、お互いに大変な作業進行でしたよ。

 

食品にとどまらず、医薬品にも対応できる工場へと進化をめざす。

●クリーンルーム導入に際して、アメフレックを選ばれた理由はどういったところだったのでしょう。

野田:候補は3社ありましたが、当社の取引先からの熱烈な推薦もありましたし、アメフレックさんの企画・提案に対する即応性と、豊富なノウハウと商品構成、そして何より担当営業の久米さんの熱意でアメフレックさんに決めました。年末年始で仕上げてくださいという無茶なリクエストも聞いて頂けるということでしたから(笑)。

●アメフレックの仕事ぶりについてはどうでしょう。

野田:さすがプロだなと思いましたね。私のような素人の無理な注文にも応じて頂きましたし、こちらも多忙で機嫌の悪い時もありましたがしっかり対応して頂きました。あの短期間に、私たちの提示した予算内で完成させて頂いて感謝しています。当社の お客様にも”ここまで整えたんだから、これに見合う仕事をさせて頂きたい“と言いたくなりますね(笑)。この設備は当社の大きなセールスポイントにしようと思っています。

●アメフレックの製品を導入されて良かったと思われるところはどこでしょう。

野田:クリーンルームのノウハウを教えて頂けたことも良かったのですが、簡易取り付け、移動が可能なエアシャワーなどの優れたクリーン化製品をお持ちなんですよ。あれは素晴らしい商品ですね。もう少し安ければもっと良いんですが(笑)。設置環境に合わせて改造にも対応して頂けますし、こういうことはやはり多くの導入事例に基づく経験があるからだと思いましたね。現在、食品の生産ラインの隣りでは、クルマの部品、その隣りではエスカレーターの部品が同時に流れています。精密機械などを作られている会社では、工場まるごとを何億円という予算をかけてクリーン化されますが、当社にはそんな予算はないし、その必要性もないということでした。今回は食品分野への参入ということもあり部分的なクリーン化というニーズでしたが、希望がかなって満足しています。これからは工場まるごとのクリーン化だけじゃなく、部分的なクリーンルーム化もここまで精度の高いものができるという証明になりました。


●今回の導入をきっかけに、御社の高い技術力を活かし、新規の受注につながると良いですね。

野田:今回のクリーンルームは当社のコマーシャルに使いたいですね。すでにお問い合わせ頂いているものもあるのですが、たとえば車のライトの透明カバーの成型は高い精度が求められます。ゆがみや異物混入でライトが切れたり、光の方向が歪むことがありますので、精度の高い製品を作って欲しいというオファーも実際に入ってきています。食品が採算ベースに乗れば、他の機械のクリーンルーム化をもっと進めたいです。近い将来、医薬品ができるようになれば国内の需要も手堅く、受注は安定すると思います。常に製品の信頼性を高める努力も必要ですし、要求される環境はシビアになると思いますが、諸外国には追いつけない分野だと思います。医薬品で先行しているところは、ほとんどが大資本の子会社で高コスト化していますから、ビジネスチャンスとして挑戦していきたい分野ですね。

●「安心して出荷できる」という言葉には実感がこもっていましたね。食品関連はやはりデリケートなものなんですね。常務は営業力もおありなので、これを機会に新規分野でもシェアを拡げていけそうですね。

野田:国内の成型の仕事が減っていく分、別の仕事を入れていかないと(笑)。中国では従来の成型分野の製品づくりを、日本国内ではさらに精度を要求される製品づくりを確立したいと考えています。

 

右:株式会社野田製作所
 常務取締役 野田氏
左:アメフレック 久米

●久米さん(アメフレック)も野田製作所様との仕事で、得られた成果はありますか。

久米:射出成型の成型プロセスをブースにして、クリーンルーム化させて頂きましたが、将来的な拡張性とメンテナンス性を考えて満足のいく設備ができたと自負しています。アメフレックは多くのクリーンルーム設計・施工ノウハウを持っていますが、部分的なクリーン化という企画において今回のケースは将来的に、非常に意味のあるものになりました。


●将来的に医薬品まで手がけたいとのことですが、これからの長期的な展望は。

野田:弊社の上海工場には従来製品の製造を頑張ってもらって、日本国内では上海工場には真似のできない技術を使った製品づくりに特化すれば、必ず生き延びることができると思います。上海工場も私が総責任者なので、将来的には年間の三分の一を上海で過ごすことになるでしょう。国内外の特性を生かして製品づくりを進めることが当面の目標ですが、より高度な医薬の分野にはぜひ挑戦してみたいと考えています。また、時代も会社も変わってきていますから、それに細かく対応できる会社が強くなれるんでしょうね。三洋電機さんからの仕事だけを請け負っている時期が一番楽だったのかもしれませんが、今さらそんなことを言っても仕方がないことですし、早く手を打たないと生き残っていけません。自動車にしても海外生産のウェートが増えてきていますし、いつまで仕事があるか分かりませんからね。

●御社の強みを一言でいうと、何でしょうか。

野田:小型から大型の成型機械をとりそろえ、環境対応、弱電、小型、車の部品など8業種に分けた、それぞれの企業様に合った細やかな対応が迅速にできることです。景気の波に左右されることがないように、時代のニーズと変化を常にキャッチするよう心がけています。商品構成を意識的に変えているのが強みではないでしょうか。そうしないと国内外の競争で生き残るのは難しいと強く感じています。

会社概要
社名 株式会社 野田製作所
所在地 本社:〒675-2303 兵庫県加西市 北条町古坂888
設立: 昭和38年9月2日
資本金: 3,000万円
代表者: 代表取締役社長 野田 晴作
従業員数: 80名

 

 

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  エコロプレス2006年3月号